葛根湯と漢方薬の歴史について東洋医学・漢方医学の原点の古書と葛根湯の最適な処方などを紹介します。
葛根湯と漢方薬の歴史 その2
葛根湯だけでなく漢方薬について言えることだが、葛根湯を例に用いてみる。
一般に葛根湯とは風邪に使用されがちだが、この表現は正しくもあり正しくないとも言える。というのも、葛根湯は確かに風邪にも用いられる漢方なのだが、漢方医学に於いて「風邪にはこの薬」という考えはしない為である。
漢方に病名は関係ないとも言える。つまり葛根湯は「肩こり」にも使われるが、肩こりの薬でもない。
具体例としては、中国から伝わった傷寒論、金匱要略という東洋医学・漢方医学の原点ともいうべき古書に書いてある処方を挙げてみる。
これには、
葛根湯 ・・・ 葛根 麻黄 桂枝 生姜 甘草 芍薬 大棗 「太陽病、項背強几几、無汗悪風、葛根湯主之」(太陽中)
と書いてあり、これを訳すと、「太陽の当たる所の疾病」、つまり体の表面を意味する内容が書かれている。
詳しくは、「風邪のひき始めのような状態で、熱は無いが首筋や肩が凝り、汗が出ていなくて、風にあたると気持が悪く、皮膚がザワザワしたりした時には葛根湯」が良いと書いてあるようだ。
つまり従来の漢方医学の考え方ではある漢方薬の使用に際して絶対条件となる症状は決められていない。しかしこの漢方は「〜の状態」の時に使用される、というような定義があり、葛根湯の場合は風邪の初期によく使われるという構造になっている。
しかし風邪は人によって症状も体調も異なり、風邪の初期に処方されるべく処方は山ほど存在する。風邪の初期は基本的に身体を温めて汗を出し初めて熱が下がる為、葛根湯には「麻黄」が入っている。「麻黄」の薬味は汗を出す性質なため、温まり当然発汗する。
しかし既に汗をかいている人に葛根湯を使用すれば更に発汗してしまい、逆に冷えを促してしまう為、風邪が体の奥に押し込まれ、思わしくない作用となってしまう。
更に葛根湯に含まれる「麻黄」は胃に障り易い性質を持っている為、食欲が落ちていたり、舌に白いコケが出ている場合は飲めないものである。
このような性質上、既に微熱になっていたり、風邪を引いて3〜4日経っている場合には葛根湯ではない他の処方を使用する場合が多い。
葛根湯が一番にその効果を発すると言われているのは周知の通り「風邪のひき始め」である。この時点で早急に自分に合った風邪の初期の漢方薬を飲めば、慣れてくれば1〜2服で治る。
ちなみに漢方はハーブである為質の差がとても大きく、良くないものは香りも少なく効きも悪いとされている。また風邪の初期はお風呂や冷たいものの摂取を控え、おかゆを食べ、あまり食べ過ぎないで温かくしているのと治りが早いと昔から言われている。
誰でも葛根湯が合うことは有り得ないということは事実であり、漢方を使用するに当たってこの概念を学んでいることはとても重要である。
漢方はあくまでも自覚症状で使用判断すべきで、病名は関係がない。よって「〜には〜漢方が効く」等のキャッチフレーズで販売されている漢方薬には気を付けなければならない。